マンションのフルリノベーション費用|購入前の7つの確認事項

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マンションのフルリノベーション費用|購入前に確認したい7つの条件

「中古マンションを購入して、自分たちの暮らしに合う住まいへ全面改修したい。費用はどれくらい必要でしょうか」

「希望する間取りに変えられるか、購入する前に確認できますか」

アーキソシエイツにも、このようなマンションリフォームのご相談が寄せられています。

マンションのフルリノベーション費用は、専有面積だけでは決まりません。管理規約、構造壁、給排水管、床の遮音性能、サッシなどの共用部分、資材の搬入条件によって、できる工事と必要な費用が変わるためです。

また、「フルリノベーション」には法律上の統一された工事範囲がありません。設備と内装を新しくする工事を指す場合もあれば、住戸内部をスケルトンに近い状態まで解体し、間取り、配管・配線、素材、照明、造作家具まで一体に計画する場合もあります。金額を見るときは、何が含まれているかを確かめることが重要です。

この記事では、マンションのフルリノベーション費用の考え方と、購入前に確認したい7つの条件を、2026年の検討目安と大阪・神戸の実例を交えてご説明します。

1. マンションのフルリノベーション費用の目安

マンションのフルリノベーション費用は、住戸の面積、工事範囲、既存部分の活かし方、求める仕様によって大きく変わります。

30坪(約99平方メートル)の工事費の目安としては、既存部分を活かしながら工事内容を整理することで2,000万円前後に収まる場合もあれば、住戸内部を広く解体し、間取り、住宅設備、配管・配線、素材、照明、造作家具まで一体的に見直す計画では、2,500万円を超える場合もあります。

比較的コンパクトな住戸で、水回りの位置を大きく変えず、既存の配管位置や利用できる下地を活かす場合には、1,500万円前後に収まるケースもあります。一方、面積の広い住戸や、水回りの移動、設備更新、造作工事の範囲が大きい計画では、3,000万円を超えることがあります。

さらに、オーダーキッチン、輸入設備、石材や無垢材、造作家具、照明、空調などを空間全体で設計するハイエンド・ラグジュアリーな仕様では、5,000万円を超える場合もあります。

このように、マンションのフルリノベーション費用には大きな幅があります。重要なのは金額だけを比較するのではなく、その費用にどこまでの工事、設備、素材、設計内容が含まれているかを確認することです。いずれも住戸の専有部分を中心とし、建物全体の外壁・屋上防水・耐震補強などの大規模工事を含まない工事費の検討目安です。定額価格や最低価格を示すものではありません。

70平方メートルや80平方メートルの住戸を、99平方メートルの金額から単純に面積按分することもできません。キッチン、浴室、給湯器、分電盤などは、面積が小さくなっても必要になる割合の大きい工事です。反対に、既存設備や下地をどこまで活かせるかによっては、同じ広さでも工事範囲を整理できます。

工事費に含まれる主な内容

  • 既存内装・設備の解体、撤去、搬出
  • 間取り変更と内装下地・仕上げ工事
  • キッチン、浴室、洗面、トイレなどの住宅設備
  • 専有部分で可能な範囲の給排水管・電気配線の更新
  • 建具、照明、収納、造作家具など
  • 共用部の養生、搬入、廃材処分など改修特有の工事

工事費とは別に、設計監理費、現地・設備調査費、各種申請費、仮住まい・引越し費、家具・家電、税金などが必要になる場合があります。中古マンションを購入する場合は、物件価格と諸費用、改修費、設計監理費、予備費を合わせた総予算で判断することが大切です。

また、建築物の解体・改修では、原則として工事前に石綿(アスベスト)の事前調査が必要です。使用建材によって分析や除去が必要になる場合は、費用と工期にも影響します。

費用の全体像と現在の建築費については、フルリノベーション費用の基準記事でも詳しく解説しています。

2. マンション購入前に確認したい7つの条件

マンションでは、住戸内部が専有部分であっても、工事が共用部分や他の住戸へ影響することがあります。売買契約後に制約が分かると、希望する間取りを変更したり、予算や工期を見直したりすることになりかねません。次の7項目は、できるだけ購入前に確認します。

1. 管理規約・使用細則・工事申請

最初に確認したいのが、そのマンションの管理規約、使用細則、専有部分の修繕工事に関する細則です。床材の性能、使用できる設備、作業日・時間、申請期限、提出図面、近隣への通知方法などが定められている場合があります。

国土交通省のマンション標準管理規約は、多くのマンションが規約を整える際のモデルです。共用部分や他の住戸に影響するおそれがある専有部分工事について、図面、仕様書、工程表などを添えて事前に申請し、承認を得る考え方が示されています。ただし、実際に適用されるのは各マンションの規約と細則です。申請期限や必要書類を全国共通と考えず、管理会社または管理組合に確認します。

2. 構造形式と撤去できない壁

鉄筋コンクリート造のマンションには、柱と梁で支えるラーメン構造のほか、壁で建物を支える壁式構造などがあります。室内の壁に見えても、構造壁、戸境壁、防火区画に関わる壁は原則として撤去できません。

販売図面だけで壁の役割を判断することは困難です。竣工図や構造図を確認し、現地の状況と照合したうえで、残すべき壁を前提に間取りを検討します。コンクリートへの穴あけやアンカー固定も、鉄筋や設備配管、管理規約への配慮が必要です。

3. 給排水管と水回りの移動

キッチン、浴室、洗面、トイレを移動できるかは、共用の排水立て管との位置関係、排水勾配、床下の高さ、配管の長さや曲がり、清掃性、排水音などで決まります。希望する位置まで配管を延ばせても、床を高くする必要が生じたり、天井高や段差に影響したりすることがあります。

水回りは「自由に移動できる」とも「マンションでは移動できない」とも一律には言えません。図面と現地調査をもとに、使いやすさ、維持管理、漏水リスクまで含めて判断します。

4. 床下・天井裏の寸法と室内の高さ

床下と天井裏には、給排水管、換気ダクト、電気配線、梁などが納まっています。配管ルートや空調方式を変更すると、二重床の高さを増したり、一部の天井を下げたりする場合があります。

スケルトンにすれば何でも自由になるわけではありません。既存梁の位置や住戸の階高を踏まえ、完成後の天井高、段差、収納量、照明の納まりを立体的に検討する必要があります。

5. 床材と遮音性能

マンションでは、階下への音に配慮し、床材や床構成の遮音性能を規約・細則で定めていることがあります。無垢材、タイル、石などを希望する場合も、仕上げ材だけでなく下地を含む床全体の構成で検討します。

必要な性能はマンションごとに異なります。「LL-45なら全国どこでもよい」といった一律の基準で判断せず、既存床の仕様と対象マンションの規定を確認することが大切です。

6. サッシ・玄関扉・バルコニーなどの共用部分

国土交通省の標準管理規約では、窓枠・窓ガラスや玄関扉の大部分、バルコニーなどは共用部分として扱う考え方が示されています。そのため、断熱やデザインを理由に住戸所有者が自由に交換できるとは限りません。

既存サッシを残して内窓を設ける方法などもありますが、結露、換気、カーテンや家具との取り合いを含め、実際の規約と申請の要否を確認して計画します。

7. 工事時間・搬入経路・養生・近隣対応

作業できる曜日と時間、連続施工できる期間、エレベーターの使用方法、資材や廃材の搬出入経路、共用部の養生方法、工事車両の駐車場所は、工期と費用に影響します。大型のキッチン天板や家具がエレベーターに入るか、階段や窓から搬入できるかも事前に確認します。

解体音や振動が出る期間は、掲示や近隣への説明を求められることがあります。安心して工事を進めるには、施工会社の技術だけでなく、管理会社・管理組合との調整と居住者への配慮も欠かせません。

3. 室内だけでなくマンション全体の管理状態も確認する

住戸内部をきれいにしても、共用の給排水管、外壁、屋上防水、エレベーターなどは専有部分の工事では更新できません。大規模修繕の予定や共用配管の更新時期によっては、完成後の住戸へ再び工事が及ぶ可能性もあります。

購入前には、長期修繕計画、修繕履歴、修繕積立金の状況と変更予定、直近の総会議事録などを確認します。計画書があるかだけでなく、実際に点検・修繕が行われ、将来の工事に向けた検討が続けられているかを見ることが重要です。

これは物件の良し悪しを単純に判定するためではありません。将来の共用部工事と住戸内の改修をどのような順序で行うか、購入後に必要となる費用をどこまで見込むかを考えるための確認です。

4. 購入前相談でそろえたい資料

購入候補が見つかったら、可能な範囲で次の資料をそろえると、希望する計画の実現性と総予算を検討しやすくなります。

  • 販売図面、重要事項説明書など物件の基本資料
  • 管理規約、使用細則、専有部分修繕工事細則
  • 竣工図、住戸平面図、構造・設備図面(閲覧できる範囲)
  • 長期修繕計画、修繕履歴、直近の総会議事録
  • 希望する間取り、設備、手持ち家具、暮らし方の要望
  • 物件価格、諸費用、改修費、設計監理費を含む総予算

すべての資料がそろうまで相談を待つ必要はありません。販売図面と希望条件だけでも、追加で何を確認すべきかを整理できます。売買契約までの期間が短い場合は、取得できる資料と内覧機会を確認し、判断に必要な項目から優先して調べます。

戸建てを含む中古物件全般の確認手順は、中古住宅を購入してリノベーションする前の相談をご覧ください。

5. マンションのフルリノベーション事例

HOUSE Ta|大阪市の中古マンションをスケルトン改修

TRUCK FURNITUREの家具と木の素材感が調和する大阪市のマンションLDK
HOUSE Ta(撮影:CATAWARA)

大阪市の高級住宅地・文教地区にある中古マンションを、築年数を踏まえてスケルトン状態まで解体し、住戸内部を全面改修した事例です。設計監理は建築家・田口喜章氏が担当しました。

ご主人のアウトドアという趣味と、TRUCK FURNITUREの家具が自然に調和することを大切にし、店舗に見られるラフな素材感を取り入れながら、住宅として必要な機能性と実用性を整えています。既存マンションの条件を読み取り、素材、照明、家具を空間全体で考えた計画です。

HOUSE Ta マンションリフォームの施工事例を見る

神戸市マンションフルリフォーム|新築工事中から設計

神戸市中央区の新築分譲マンションを全面改修した開放的なLDK
神戸市マンション改修(撮影:母倉知樹)

神戸市中央区の新築分譲マンションを、引渡し後に内装解体し、間取り、内装、使い勝手を全面的に見直した事例です。お施主様が相談会へ来場された時点ではマンションが建設中だったため、新築工事中から建築家・田口喜章氏と設計を進めました。

立地は気に入っておられた一方、標準の間取りや内装では希望する暮らし方を実現しにくいことから、お一人暮らしに合わせて住戸内部を計画。キッチンをはじめ家具もオーダー製作し、空間の統一感と日々の使いやすさを両立させています。

神戸市マンションフルリフォームの施工事例を見る

6. 購入前から建築家に相談する意味

不動産会社は物件取引と物件情報の専門家です。一方、建築家は、図面と現地から改修の制約を読み取り、希望する間取り、空間の質、必要な性能、工事範囲と予算の関係を整理します。それぞれの専門性を組み合わせることで、購入後の計画を具体的に想像しやすくなります。

購入前の相談で、すべての隠れた状態や最終工事費が確定するわけではありません。壁・床・天井の内部には、解体後に初めて分かることもあります。しかし、規約、構造、設備、共用部分など購入前に確認できる条件を先に整理すれば、大きな方向違いを減らし、必要な予備費も考えやすくなります。

設計監理の仕事内容と費用については、建築家にリフォームを依頼するときの設計料でご説明しています。

7. マンションのフルリノベーションに関するよくある質問

マンションのフルリノベーションにはいくらかかりますか?

30坪(約99平方メートル)の工事費の目安としては、既存部分を活かしながら工事内容を整理することで2,000万円前後に収まる場合もあれば、間取り、設備、配管・配線、素材、造作家具まで全面的に見直す計画では、2,500万円を超える場合もあります。比較的コンパクトな住戸では1,500万円前後、面積の広い住戸や工事範囲の大きい計画では3,000万円を超えることがあります。オーダーキッチン、輸入設備、石材、造作家具などを取り入れたハイエンド・ラグジュアリーな仕様では、5,000万円を超えるケースもあります。いずれも定額価格ではなく、既存状態とご希望を確認し、現地調査、設計内容および施工会社の見積りをもとに判断します。

70平方メートル・80平方メートルなら、面積で費用を計算できますか?

面積は参考になりますが、単純な比例計算はできません。キッチンや浴室など面積に比例しにくい工事があり、水回り移動、造作家具、既存設備の再利用、搬入条件でも金額が変わります。

キッチンや浴室を別の場所へ移動できますか?

共用の排水立て管、排水勾配、床下高さ、配管経路、排水音などの条件を満たせば移動できる場合があります。希望位置だけで決めず、図面と現地を確認して判断します。

コンクリートの壁を撤去できますか?

構造壁、戸境壁、防火区画に関わる壁は撤去できません。仕上げや非構造壁に見えても、販売図面だけでの判断は危険です。竣工図・構造図と現地の確認が必要です。

窓やサッシを交換できますか?

窓枠や窓ガラスは共用部分として扱われることが多く、住戸所有者が自由に交換できるとは限りません。管理規約と改修細則を確認し、必要に応じて内窓など別の方法を検討します。

売買契約前でも相談できますか?

はい。むしろ、希望する改修ができるか、購入費と改修費の総額が予算に合うかを検討するには、契約前の相談が有効です。販売図面しかない段階でも、追加で確認すべき資料と条件を整理できます。

8. まとめ|マンション改修は購入前の条件確認が重要です

マンションのフルリノベーション費用は、広さだけでなく、管理規約、構造、給排水管、床・天井の納まり、遮音性能、共用部分、施工条件によって変わります。中古マンションを購入して改修する場合は、物件価格と工事費を別々に考えず、設計監理費や予備費を含む総予算で判断することが大切です。

制約があることは、希望する住まいが実現できないという意味ではありません。変えられない条件を早い段階で把握し、残すものと変えるもの、費用をかける場所を整理することで、そのマンションの特性を活かした住空間を計画できます。

アーキソシエイツでは、大阪・兵庫を中心に、マンションの購入検討段階からフルリノベーションのご相談を承っています。候補物件の販売図面やご希望、ご予算が分かる範囲でお聞かせください。経験豊富な建築家とともに、実現性と費用の両面から計画を整理します。

※本記事の金額は、2026年9月時点の工事費の検討目安です。正式な費用は、現地調査、設計内容および施工会社の見積りに基づいて決定されます。

参考資料

※マンション標準管理規約は、個々のマンションの規約を作成・改正する際のモデルです。工事の可否と手続きは、対象マンションの管理規約・使用細則・修繕工事細則をご確認ください。

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