第一回 建築家とつくる家づくり(前半) | 建築家紹介|関西の建築家とこだわりの住宅を|アーキソシエイツ
TALK

「家づくり」対談

第一回 建築家とつくる家づくり(前半)

我々アーキソシエイツが目指す理想の「家づくり」とは?
第一線で活躍されている建築家、工務店を交えてそれぞれが想い描く家づくりについて対談しました。
前半後半の2回に分けてこの特別対談をお届けします!

 

【対談メンバー】
建築家 生山 雅英 氏
建築家 田口 喜章 氏
建築家 真銅 祥一朗 氏
株式会社岩鶴工務店 岩鶴 祥司 氏
アーキソシエイツ 村木 睦弘

 

 

<村木>
(問)住宅の理想とは?

 

<生山氏>
クライアントからご依頼を頂くときにまず、ご要望の内容を書いて頂くのですが、その中で家づくりに対して最も大切にしたいことを書いて頂いてます。
その大切にしたいことをこちらがひも解き、膨らませていき設計をしていきます。建築家が考える理想ではなく、クライアントそれぞれ理想は違うのでそれを理解し膨らませていくのが仕事だと思ってます。
また、はっきりした理想を持っていない方も多く情報があふれる中でその情報に振り回されているクライアントもいらっしゃいますので本当にその人にあった理想の家づくりはじっくりと時間をかけて打合せしていくことになります。

 

<田口氏>
お客様のキャラクターを理解して生活文化の向上が図れたらと考えています。
クライアントとしての理想もありますし、文化としての理想、設計者としての理想もあるのでそれが融合できればと思います。

 

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<村木>
(問)文化とは日本の文化という意味ですか?

 

<田口氏>
日本の文化として捉えてます。
一住宅ではありますが街に建っている以上その枠をこえて考えられるものではないでしょうか。ただし、様式的なものではなくもっと本質的なものとして考えていきたいです。

 

<真銅氏>
難しい質問です。
ただ住宅に関してはやはりクライアントの数だけ理想の形は違うと思います。私は住宅は個人的なものなのでそこにお住まいになる方が満足してもらえればと考えています。
生山先生もお話になってましたが、クライアント自身が自分の住宅にたいする理想等わからない方も多いのでそこを引き出していくのも建築家の仕事ではないかと。
単なる図面の提案をしているのではなくクライアント自身が気づかない点を見つける、またクライアントが考えているもの以上のものを提案するのが私たちの仕事ではないかと考えてます。

 

<岩鶴氏>
工務店の立場から言うと長年安心して住んでいけるかを常に考えてます。
建築家の考える家はやはりハウスメーカーとは全く異なったものなので建築家が考えた2次元のものを実際に3次元にして建てていく。
また完成した建物の保証、アフターを行っていくのは基本工務店なので如何に一品生産の建築家の家を後々まで問題なく住んで頂けるか常に考えてます。
その一品生産の考えからすると理想の家とはそれぞれのクライアント、住宅によってことなるものだと考えます。
建築家の設計を工事する工務店に求められるものは、建築家がクライアントから引き出した理想の住まいを建築家からその意図を汲み取って形にできるかだと思います。 またクライアントには是非家づくりの過程も楽しんで頂きたいと思います。

 

<村木>
(問)完成してからもクライアントとは長年のお付き合いになっていくとのことですが、建築家の方々は完成してから実際どのような形になるのでしょうか?

 

<生山氏>
クライアントの考え方によると思います。もちろんご相談やアフターのことでご連絡あればキチンと対応しますが、完成してから少し疎遠になる方もいらっしゃいます。
しかし、完成した住宅はある程度メンテナンスは必要なものであり、それを理解して頂き空間を楽しんで頂いてる方とは個人的にも10年20年と長くお付き合いさせて頂いております。

 

<田口氏>
クライアントの方には是非経年変化を楽しんで頂きたいと考えてます。
住宅を単なる商品として捉えるのではなく長年お住まいになられてそれが自分や家族にあった空間だと思って頂けたらと思います。完成したときが100点でそこからずっと減点されていくのは悲しいですね。
それにはやはり価値観の合うクライアントと建築家の出会いが必要だと思います。価値観が合えば皆さん良い関係性が続いていくと思います。

 

 

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(問)建築家に依頼すると、ご相談からプランが決まるまで実際どれぐらいかかるのでしょうか?

 

<岩鶴氏>
建築家によっても様々だと思います。ファーストプランがすぐに思いつくときもあるでしょうし、3ヶ月以上考えてる方もいらっしゃいます。
また一つのプランに絞って提案する建築家もいらっしゃいますし、プランがどんどん変わっていく方のケースもありますね。敷地条件やその周辺環境によっても全然かわってくると思います。

 

<田口氏>
私の場合はプランは家づくりの地図みたいなものだと捉えてますので、プランによってクライアントの家づくりの方向性を決めていければと考えてます。

 

(問)ハウスメーカーは違うのでしょうか?

 

<村木>
ハウスメーカーとの違いについてですが、メーカーの一般的な価格帯の住宅は基本的にはまず営業マンが自社商品の中からお客様にプランを提案してくる形が多いですよね。
きちんと設計がつく場合もありますが、営業マンが平面プランを考えられる仕組みになっており、それを社内の設計がチェックするという形が見受けられます。

 

<真銅氏>
プランに対する考え方が一概に建築家と異なるとも言えませんが、建売なども含め多くの場合は間取りのパズルに終始しているようには思います。商品である以上設計にはかなり制限があるでしょうし、それはしかたがないのでしょうけど。
私達の場合は決められた中から選んで行くというわけではなく、決められたルールも標準仕様もないので、プランや設計にはそのぶん時間はかかります。しかし本当の意味で全てが自由ですし、だからこそ付加価値のついた最良のご提案とおこなえるものだと
思っております。

 

<生山氏>
ひとつ危惧するのは、建築家といっている人の中でもハウスメーカーと同じようなことをしている方がいることですね。
我々がつくってる住宅は本来一品生産でハウスメーカーさんがつくる不特定多数の方に考えた平均値的なものとは違うものです。
ハウスメーカーの大多数の家は、本当の敷地条件や周辺環境を考慮した上でプランを考えていないように思います。

 

(問)プランのスピードの話がでましたが、建築家に依頼するとどの位の日数がかかるのでしょう?

 

<生山氏、田口氏、真銅氏>
設計期間として今まで長くかかったので2、3年。
早くても半年が普通です。

 

 

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(問)その間ずっとコミュニケーションを取ってられるのですか?

 

<生山氏>
長期間の時は一ヶ月に一回程度、半年で終わる場合は2週間に一度ぐらいの打合せが多いのではないでしょうか。
昔の有名な建築家の中には半年間はプランを書かないという方もいましたね。今もいらっしゃいますが。
半年間はコミュニケーション(面談したり、一緒に食事やお酒を飲んだり)をとって、クライアントの人となりを理解してからプランを考えるというスタイルです。

 

<真銅氏>
私は30代ですが、常に一生の内に自分が設計できる数は限られているのでやはり一つ一つの住宅に対する思い入れは強いですね。時間がかかって当然だと思ってます。

 

<岩鶴氏>
ハウスメーカーはリレー方式なのでスタイルが違いますよね。営業マンが窓口として契約しその後、設計、インテリアコーディネーター、現場監督、アフター部門と引き継いでいくのですから。
建築家との家づくりは最後まで建築家が窓口ですよね。

 

(問)今インテリアコーディネーターの名前がでましたが、建築家もそのようなことをして頂けるのでしょうか?

 

<田口氏>
そもそもハウスメーカーさんのコーディネートはおそらく決まった商品の中から色を合わせていく作業だと思います。
建築家は家具を最初から作ることも多いですし、キッチンも造ったりします。また床や壁といった素材はもちろんなんの規制もありません。
(建築基準法に合致していれば)もちろん照明計画もたてて照明器具も提案します。ご要望があれば家具屋さんに同行したりカーテンも選んだりします。

 

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――― 後半へ続く。