大阪府大阪市路面電車が走る幹線道路から少し入った比較的静かな住宅密集地の中、3軒長屋を建替えた50代の父と大学生2人のための住まいです。 建替え前の茶の間には、南側隣家の間から心地良い風が入り、それがキッチンを通って、玄関まで流れていました。設計もこの風を取り込むことからスタートし、1階にキッチンのある広間と仏間(和室4.5畳)、水廻り、2階にはそれぞれの個室を設けました。仏間南側の大きな開口部から入る風が家全体に流れるように各スペースや階段を配し、道路からのアプローチは、路地的な空間とし、その先をどんつきとしました。 (どんつきとは、関西では行き止まりという意味で、住宅に囲まれたミチでは、共用の庭のような場であったりします)どんつきにはL型のベンチを設けて、親しいご近所さんや友人、家族で気軽に過ごせる場とし、町並みにも奥行きを与えています。さらに濡れ縁のある南の庭を設け、外と内部が立体的に繋がることで、さまざまな風の道や視線の広がりも得られています。南の庭には、イロハモミジとコバンモチ、ツツジ、ハイゴケなどが植えられ、花や葉の成長を楽しみ、流れる風を感じられる暮らしを提案しました。 都市の雑然とした環境の中においても内部に閉じ過ぎない、自然の一部としての人の居場所をつくりたいと考えています。 AS 分類 建築家住宅 木造新築住宅 シンプルモダンな家 大阪 建築家と建てる家