最近では一般の人にも建築家という言葉が浸透してきました。
しかし多くの方が建築家についてよく解からないと言われます。
理由の一つには、そもそも日本には建築家という資格がなく、基本的に自称だからなのです。
建物を設計する資格には木造建築士・二級建築士・一級建築士とあり、
更に専門性によって構造設計一級建築士・設備設計一級建築士と分かれていきます。
そして建築の設計には意匠と技術の2つの側面がりますが、日本ではその両方を兼ねています。
対して欧米では意匠及び統括設計者と技術者(エンジニア)は別々の職種であり、
前者のことをアーキテクト(建築家)と呼んでいます。
日本における大半の建築士は会社等に所属して仕事をしており、技術者としての側面が強いのです。
それに対して建築家は、建築物について個別の思想を持って世の中に問うている人達のことです。
そのため多くの場合は、作品と呼ばれるような建物をつくっています。
つまり創造者であり発信者なのです。
私も独立したての頃は建築家とは名乗っていませんでした。
作家としての思いがありながらも社会的に実績のない自分を何と呼んでよいのか判りませんでした。
建築家はそれぞれの個性がはっきりしており、常に新しいことを考え、模索しています。
そして自らが認める価値観に沿う建築を創るのです。
斬新さや奇抜さを求める建築家もいれば、
伝統的な建築を現代で活かすことを追求する建築家もいます。
それでは、次からは建築家がどのようなことを考えているかをお話したいと思います。
建築家 京都 矢田朝士氏 / ATELIER-ASH
※写真:曽根の家 撮影:小川重雄